小さな庭からはじまる環境再生|三鷹・個人邸リフォーム
三鷹市の住宅地にある小さな庭。整ったコンクリートの外構は、一見きれいに見えても、土の中では空気と水の流れが止まり、息苦しい状態になっていました。そこで今回は、すべてを壊すのではなく「少しだけほどく」という選択を。コンクリートを部分的に取り除き、炭や落ち葉を用いて土を整え、点穴によって空気と水の通り道をつくりました。玄関まわりにはやわらかな植栽を添え、家と人が気持ちよく呼吸できる空間へ。小さな庭でも、環境は変えられる。その静かな変化のはじまりです。
三鷹一般住宅|コンクリートをほどき、呼吸する庭へ
自宅の小さな庭でも、地球にやさしいことはできるのか。
そう感じている方は少なくないと思います。
今回の施工は、三鷹の住宅地にあるコンパクトなお庭。もともとは外構の多くがコンクリートで覆われ、夏場には強い照り返しと熱を持つ環境でした。見た目は整っていても、土の中では空気と水の流れが止まり、生き物が暮らしにくい状態になっていました。
そこで今回は、コンクリートをすべて壊すのではなく、「少しだけ取り除く」という選択をしました。限られたスペースの中で、土の領域を広げ、呼吸できる環境を取り戻していきます。
さらに、玄関は、家と人が「いってきます」「ただいま」を交わす、まさしく家の「顔」です。朝、出かけるとき、夕方、帰ったとき、必ず挨拶する場所だからこそ、無表情だった玄関に、家も人もニコッと微笑むような、明るくて可愛い彩りを加えていきます。
まずは既存のコンクリートにカッターを入れ、部分的に解体していきます。内部のワイヤーメッシュを取り除き、下地の土を確認すると、そこには空気も水も届かず、湿気が滞留した締まった土が現れました。この状態では植物も微生物も健やかに生きることができません。
そこで一度その土を取り除き、炭やくん炭、落ち葉などを混ぜながら土壌を改良し、再びその場に戻していきます。単に入れ替えるのではなく、その場所の環境に合わせて“呼吸できる土”をつくる工程です。
さらに、小さな穴を掘り、約60cm間隔で点穴を設けていきました。この点穴が空気と水の通り道となり、雨水が滞ることなく土の中へと浸透していきます。狭い庭でも、この処理を丁寧に行うことで、植物の育ち方や環境の質は大きく変わります。
玄関アプローチの部分では、既存のコンクリートを広めに除き、アンティークレンガを用いた仕上げに改修しました。
将来的に車が乗る可能性も考慮し、下地にはしっかりと転圧と浸透処理を施しつつ、完全に塞がず、わずかに隙間を持たせた構造にしています。その隙間にも点穴を施し、炭や藁を差し込むことで、見えない部分でも水と空気の通りを確保しています。
仕上げには、踏圧にも強いアジュガやタイムといったグランドカバーを植栽しました。レンガの隙間からやわらかく広がる緑は、見た目の可愛らしさだけでなく、土を守り、環境を安定させる役割も担っています。これから季節ごとに小さな花が咲き、空間に表情を与えてくれるはずです。
駐車場の脇には、流れるような植栽帯を設けました。こちらにも浸透処理を施した上で、季節ごとに楽しめる宿根草を配置しています。半日陰の環境であるため、ホスタやヒューケラといったリーフを楽しめる植物を中心に、秋に花を咲かせるオミナエシやユーパトリウムなども加え、時間の経過とともに変化していく構成としました。
玄関扉まわりにも小さな植栽スペースを新たに設け、シンボルツリーとしてフェイジョアを植栽。そこにコデマリなどを添えることで、住宅の入り口にやわらかな緑の層をつくっています。
今回の施工は、大きな庭ではありません。しかし、コンクリートを少し外し、土に空気と水の通り道をつくることで、小さな生態系は確実に動き出します。微生物が増え、虫が集まり、植物が根を張る。その循環の中で、人にとっても心地よい空間が生まれていきます。
大きく変えなくてもいい。すべてを自然に戻さなくてもいい。
ほんの少しの手入れで、庭は「生きた場所」に変わります。
これからこの庭がどのように育っていくのか。
その変化を見守っていくことも、この施工の大切な一部だと感じています。
コンクリートを取り除き、植栽することで得られる5つのメリット
今回のように、コンクリートを一部取り除き、土と植物の領域を取り戻すことには、見た目以上の意味があります。
① 土が呼吸できるようになる
地面を覆うコンクリートを開くことで、空気と水が土に届き、微生物や植物が本来の働きを取り戻します。
② 水が滞らず、自然に循環する
雨水が地面に浸透することで、流れが整い、水はゆっくりと土に戻っていきます。
③ 夏の暑さをやわらげる
土や植物は水分を含み、熱を逃がします。コンクリートだけの空間に比べ、体感温度が下がります。
④ 埃が立ちにくくなる
雨水が植栽帯に流れ込み、土に浸透することでコンクリートが洗われ、埃が舞いにくくなります。⑤ 生き物が増え、心地よい空間になる
土と緑があることで、小さな生き物が戻り、空気や雰囲気もやわらかく整っていきます。