京都・貴船神社 本宮| 表参道 石畳階段・ケヤキ樹勢回復工事(第18期)
雨が降るたびに水たまりができる。
木々の元気がなくなってきた気がする。
そんな変化の背景には、目には見えない「土の呼吸」の停滞が隠れていることがあります。
今回、貴船神社本宮参道では、石畳階段の改修と排水路の整備、そして御神木ケヤキの樹勢回復工事を実施しました。
私たちが行ったのは、単なる修繕工事ではありません。
水と空気の流れを整え、大地本来の働きを取り戻していく環境再生の取り組みです。
参道の足元で何が起きていたのか。
そして、どのように改善していったのか。
工事の様子とともにご紹介します。
雨水が流れ、木々が呼吸できる参道へ
京都・貴船神社本宮参道にて、第18期となる環境整備工事を行いました。
今回の工事では、参道脇の石階段の改修、排水路の整備、そして御神木であるケヤキの樹勢回復を目的とした大地の再生工事を実施しました。
参道の階段を「呼吸する石畳」へ
参道脇の階段は、長年の補修によって一部がモルタルで固められ、雨水が地面へ浸透しにくい状態となっていました。
また、人が多く歩く場所でもあるため、土が締め固まり、周辺の樹木の根も呼吸しにくくなっていました。
そこで既存の階段を解体し、自然石を組み直しながら浸透型の石畳階段へと改修。
石と石の間に空気や水が通る隙間を設けることで、歩きやすさだけでなく、大地が呼吸できる環境を整えました。
水が流れない原因は「見えない詰まり」だった
参道の水はけを悪くしていた原因のひとつが、排水路の詰まりでした。
排水路の中には木の根が入り込み、その周囲に泥が長年堆積していたため、水位が上がり、水がスムーズに流れない状態になっていました。
工事では排水路や雨水枡を清掃し、堆積した泥や不要な根を取り除きました。
すると濁っていた水路に再び澄んだ水が流れ始め、水位も大きく改善。
これまで地中に滞っていた水や空気が動き始める環境が整いました。
御神木ケヤキの足元にも手入れを
参道を見守る大きなケヤキの周辺では、土が締まり、幹の周りに降った雨が地中へ浸透しにくい状態になっていました。
そこで、地表に浅い溝を設ける「表層水脈」と、縦方向に空気と水を通す「点穴」を施工。
炭やくん炭、木枝などの自然素材を用いて、土の中に空気と水が流れる道筋をつくりました。
また、既存の水脈に詰まっていた土や砂も取り除き、ケヤキの根が再び深く広がっていける環境を整えています。
大地と参道を未来へつなぐために
神社の参道は、多くの人が訪れる大切な場所です。
しかしその足元では、雨水の流れや土の呼吸が少しずつ失われていることがあります。
今回の工事では、石畳を美しく整えるだけでなく、水と空気の流れを回復させることで、木々や土壌が本来の力を発揮できる環境づくりを行いました。
目には見えにくい変化ですが、こうした小さな積み重ねが、未来の森や参道の景観を守ることにつながっていきます。
庭屋いぶきは、これからも自然の仕組みを活かしながら、人と自然が共に心地よく過ごせる場づくりに取り組んでまいります。